ERPとは
ERP導入が大企業で進んだ理由は、前述したように統合DBによりマスタデータの一元管理ができるというメリットにある。本来、ERPパッケージの一機能であっても単機能の業務パッケージであっても、例えば会計システムであれば提供する機能はほぼ同じである。異なる点は、単機能の業務パッケージであれば機能ごとにデータベースが用意されてしまっていることだろう。例えば、Aという会社からBという商品の注文が入ったとしよう。単機能の販売管理システムでは、その受注情報を入力し請求書を発行するとともに、会計システムにも売上処理をするために同じ情報を再度入力するという手間が生じる。一方のERPパッケージであれば、販売管理画面で注文情報を入力すれば、その情報はリアルタイムに統合データベースに反映されていくため、他のシステムで新たに入力する必要はない上、データの正確性も高まる。二重入力の手間を省くため、業務処理コストの削減にもつながるというわけだ。
統合データベースを採用していることのメリットは、業務処理コストの削減だけではない。経営情報のリアルタイムな把握ができるようになること。そのため、意思決定のスピード化が図れるようにもなる。つまりERPパッケージ導入のメリットは、「データの一元管理」「業務処理コストの削減」「リアルタイムな経営情報の把握」「意思決定のスピード化」が可能になることである……数年前から中堅・中小企業向けのERPパッケージが続々と登場し、中堅・中小企業がより導入しやすいよう、安価かつ短期間に導入できる仕組みも提供され始めている。今、中堅・中小企業向けERPはどのような方向に進んでいるのか、最新トレンドをチェックしていこう…
■導入支援パッケージ大企業ほど情報システム部門の人員が確保できない中堅・中小企業では、導入に関して手間もコストもかけたくないところだろう。そんな企業を後押しするべく、ERP導入を簡便にしてくれる仕組みが登場している。例えば、日本オラクルが提供している短期導入を支援するツール「Oracle Business Accelerator」は、パートナー各社がもつノウハウをパッケージ化したものだ。例えば、「Gex流通Fin」は流通業向けの一般会計・買掛管理・売掛管理のビジネスモデルをテンプレートに、公認会計士のノウハウを生かしたソリューション。その他にも、全業種向けの「内部統制強化BPR」ソリューション、独立行政法人向けの「BASE-One予算統制・執行管理システム」などがある。
これらのパッケージを使うと、本来なら追加して開発しなければならない業界特有の要件も事前に設定されている。これは、新築マンションに例えると、モデルルーム的な役割にあたるといえるだろう。ある程度までなら事前に確認することができるため、導入する際の失敗も最小限に抑えられる可能性が高くなる。つまり、短期導入の実現が可能になるというわけだ。■業種別ソリューション、テンプレートの拡充短期導入を支援するツールとしてもう1つ見逃せないのが、各ベンダにおける業種別ソリューションの拡充だ。例えば、富士通の「GLOVIA smart」で提供されている業種別販売管理ソリューション「FMNAX」は、約4000社の導入実績をもとにした業種別ソリューションだ。テンプレートも充実しており、エステサロン業や水産加工業、タイヤ販売業、設備工事業をはじめ40種以上用意されており、顧客のニーズにあった最適な販売管理システムが短期間でかつ安価に実現できるような仕組みとなっている。マイクロソフトの「Dynamics AX」でも、パートナーと連携し、業種別テンプレートおよびソリューションの拡充を図っている。生産工程状況の“見える化”をはかるソリューション「Asprova Link for Microsoft Dynamics AX」もその1つだ。また、大塚商会のSMILEシリーズでも、30種を超える業種別ソリューションを提供、導入事例の中からピックアップした300種以上の業務・業界別テンプレートを用意するという充実ぶりだ。このように各ベンダでは、中堅・中小企業がERPを導入しやすいような製品戦略を展開している。
■新技術SOAの導入RPにも新技術の導入は欠かせない。Web対応の製品が増えているのはもちろんのこと、大手ERPベンダを中心にSOA(サービス指向アーキテクチャ)が取り入れられてきている。SOAは、ビジネス・プロセスを処理するソフトウェア機能をサービスとして呼び出せるもので、大規模なシステムを構築するための設計手法となっている。
図を見ても分かるように、SOAの概念を取り入れたERPパッケージのメリットは、レガシーシステムや既存システム、外部サービスとのデータ連携が容易にできることだ。また、万が一ビジネス・プロセスを見直してサービスを入れ替えることになっても、比較的容易に入れ替えることができる。つまり、SOAを採用していれば、自社に最も合うビジネス・プロセスを採用しているシステムを柔軟に選択したり、自前で作成したりできるようになる…
■フロントソリューションの拡充
ERPは基幹業務を担うツールである。そのため、ERPのデータベースにはこれまでのビジネス履歴が数多く蓄積されている。その情報をこれからのビジネスに活用していくことは大きな意味を持つ。しかし、欲しい情報、見たい情報は人によって違うはずで、例えば経営層は、経営目標や戦略を立案するためにERPのデータを見たいと思うだろう。また現場担当者であれば、特約店Aにはどんな製品がよく出ているのか、B製品を作るためにどんな仕入先を使っているのかなど、現場担当者が自身の業務を遂行するために必要な分析を行いたいと思うはずである。このような企業で働く人の立場によって必要な“見える化”を支援するツールを提供しているベンダもある…
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